「――俺、金井が好きだから!」
息が、できない。
じわじわと涙がこみ上げてきて、視界がかすむ。
「だから、お前の気持ちも、この守り方が間違いだってこともわかんだよ!!」
「……俺には、これくらいしかできねぇんだよ」
「もっと違う方法があんだろ!?」
「嫌われてる奴にできることは、これだけなんだよ」
「お前は遠回りすぎんだよ!」
千は胸ぐらを掴む芹沢の手を剥ぎ取って、目を伏せた。
「おい、ちょ、待てよ!なあ、千!!」
千は何も言わずに、用具室から出て行こうとして一瞬横を見ながら足を止めたが、すぐにまた歩き始めた。
出て行く時、私を見た千の視線はやはり辛そうだった。
一気にいろんなことがありすぎて、困惑する。
私は脱力したように、座り込んだ。