「妖怪はボールを受け取って嬉しそうだったけどさ。

他の人から見たらボールは浮いてるし、
私は誰もいないところにボールを投げた変な奴だったし。

その後、怖がられて遊びに混ぜてもらえなかったよ」



初めて。

七波は俺に昔の話をする。


「…………で?」

聞くと。


七波は遠くを見ながら、
温かいものを思い出すように目を細める。


「それを昔、峰葉に話したら

『バカだな、おまえは。
そこが力の使い時だろう』って言ってさ

この力、教えてくれたんだ」


そう言って七波は男子コートに向かって
手を伸ばす。



すると。


「………………!」


コートの周りに、見えるか見えないかくらいの薄い透明の膜ができた。



「これで妖怪は入って来られないよ。

ほら。
これで蘭は不安なく試合に参加できるね」