あの日。


俺たちは蘭のお父さんの運転する大きな車に乗って俺と両親、蘭と妹、蘭の両親の7人、

それからこっそり俺と蘭の間に乗る狐面の妖怪と目的地へ向かっていた。



でも。

「楽しみだね、蘭」

「そうだな。お前は何したい?キツネ」


『キツネ』は、その妖怪につけたあだ名だった。



キツネはにんまりと笑っていた。



「……………キツネ?」