『あの日』は、

俺たちが小学5年生の秋にやってきた。




『ねえねえ、明日は何する?』

いつものように、狐面の妖怪は言う。


でも。

「ごめん、明日は俺たち旅行に行くんだ」

俺が答える。

『旅行?』

「ああ。山にみんなで紅葉狩りに行くんだ」

今度は蘭が答える。


『いいなあ、僕も付いてっていい?』



俺と蘭は顔を見合わせる。

「まあ…………みんなには見えないんだから」

「こっそり連れてけば、いいか」


なんて、軽い気持ちだった。