「あんたもね!素直になりなさいよ」


いきなり山本さん 主任のお姉さんが
あたしに怒った。


「おい!姉貴が口出すな」


「口出すな?よくそんなこと
言えるわね!
誰のおかげで今があると思ってんの!
それに貴女も堕したいなら
さっさと手術室に行きなさいよ!」


「姉貴!!!」


「わかりました
ごめんなさい・・・主任
あたしの身勝手で騒動させちゃって
沖縄に行く時点から間違ってたんです
主任に頼まなければ
こんなことにならなかったし
主任は今から幸せな未来が待ってると
言うのに あたしが妊娠してるとか
水口さんにも申し訳なくて
だから このことは無かったことに」


丁寧に頭を下げて謝ると主任は
「産めよ」と呟いた。


「そう簡単に言うな!
あんた2人の子供の父親に
なれるわけないでしょ」


「あっ。。。水口ね
結婚するけど 相手はオレじゃない
社長の息子だよ」


「はぁ?何がどーなってんのよ
この子がそれでどれだけ
傷ついてると思ってんの?」


「あたし水口さんから直接聞いたんで
嘘じゃないと思います」


「オレが嘘だと言うのか?」


「それは・・・」


「あのな
水口の相手は社長の息子の設楽幸樹
最近一緒に居たのは
あいつらの新居のデザインを
担当したから」


「で・でも・・・
合鍵持ってるし」


「合鍵???そんなことを
水口が言ったのか?」


「だって・・・電話・・・」


「電話?」


「沖縄にいる時 待ってるって
水口さんずっと待ってたんでしょ?」


「なんで水口が?」


「ごめんなさい・・・
あたしが主任に電話を手渡す時
ディスプレイが見えたんです」


「うん?水口って出てた?」


「あ・・・いえ
たかこって・・・
水口さんたかこでしょ」


「はぁー」
主任はその途端大きなため息をついた。


あたしがディスプレイを見たのを
『盗み見したな!
とうとうバレたか』と思ったに違いない。


「ごめんなさい
盗み見なんてしちゃって
言い訳に聞こえるかもしれないけど
見ようと思ったんじゃなくて
見えたんです」


「マジかぁ・・・」
主任はそう続いた。