そうは思いながらもやっぱり笑顔をゆっくりと作る。
「陽くん今日出かけるのってここにだったんだね」
もうびっくりしたよーなんて言いながらアハハと笑いかけると横目で見えた千聖くんは引きつった顔をしている。
さっきのオカマの真似のことだろうか。
それとも浮気しなれている、とでも思われているんだろうか。
「今日はちょっと買い物があってな。沙月こそどうしたんだ?」
「私も買い物だよ!」
さっき千聖くんの名前を呼んだのはバッチリ聞かれてるだろうし、不思議に思っているはずなのに何も聞いて来ないのは私のことを信じているからなのだろうか。
私は陽くんを好きだし、多分陽くんも私が好きだと思っている。
だから信じているから、と思いたい。