梨花子と店長の話で持ち切りの中、ふとあたしに向けられた視線。


「ねね!美未はどうなのさ?」

「えっ!?」


まさに不意打ちの展開に、目を見開く。


「あれからもう一年だし、そろそろいい人見つかった?」

「えっと、その……」


うちの高校は2、3年のクラスは同じ。

特にうちのクラスは仲良かったから、あたしの恋愛事情もよく知っている。


一志と付き合ってたことも、別れたことも。
一年前あたしが落ち込んで休んでいたことも。


だから、一志と元サヤに戻ったことを伝えたら、きっとみんな驚くと思う。


でも……。


「彼氏、とまでいかなくてもさ。好きな人はいるっしょ?」


そう問いかけられた瞬間、頭の中に浮かんだのは、一志じゃなく、彼の顔で。

強烈な胸の痛みと共に、あたしは口走っていた。


「あはは、いないよー、好きな人なんて!!」


そんな作り笑いに、隣にいた梨花子だけが目を見開き、その後複雑そうな表情を浮かべていた。