「あのね、美未!
バイトと言えば新しい出会い!それに限るっっ!」


「…………はぁっ?」


落ち着いた曲が流れた店内に、あたしの間抜けな声が響く。


だって梨花子のヤツ、いったい何を言い出すのかと思ったら。


「……そーんなくだらないこと考えてたわけ?」


「くっくだらないって……!!」


これは、梨花子の癖なのだろう。

彼女は風船に空気を入れる時のように、再び頬をぶぅっと膨らませた。




こういう可愛らしいこと、あたしにはできないなぁ……。


表面では呆れながらも、そんなことをぼんやりと考えてしまう。