そして、そのまま梨花子が6個目のドーナツを手にした頃。


「……あ。ねぇ、そう言えば梨花子さぁ。
今日あたしに話があるって言ってなかったっけ?」


あたしはハッと思い出したように言う。




――そうなのだ。

彼の話題ですっかり忘れていたけど、今日あたしたちが会っているのは、おととい電話を掛けてきた梨花子に、話したいことがある、と言われたから。


普段はどうでもいいような話ばかりのあたしたちだけに、急に話があるなんて言われるとちょっと緊張する。


すると、梨花子は待ってましたと言わんばかりにパァッと嬉しそうな笑顔で話し始めた。


「よくぞ聞いてくれましたっ!!」


――ガタッ!!


ほぼ同時に、勢いよく椅子から立ち上がる。


……ちょっと、また注目されちゃうじゃん。


だけど、梨花子はそんなことお構いなし。
素早くあたしの隣へと身を移し、肩に手を回した。


「ねぇ、美未?

今あたしたちに足りないのはトキメキだと思わない?」

「……へ?」




「バイト……してみない?」