途切れ途切れに
子供たちは言葉を重ねていく。
そして、暫くぎこちなく話を続けた後に
子供たちの口から、はっきりと
ジルが、その一言で全てを理解出来てしまうような
明らかな事実が、一言零れた。
(───まさか....)
子供たちの言葉に、一瞬ジルの思考が停止した。
心臓が、跳ね上がった。
....寝起きのジルにとって
その子供たちの言葉がどんな電気ショックよりも大きくて
ジルは、自分の老いた心臓が止まってしまうのではないかと心配になった。
「すまんな、お前達....もう一度言ってくれんかの?」
ジルは、自分の耳がどうしても信じられなくなって
もう一度、念を込めて子供たちに聞く。
自分のこの老いた耳が
子供たちの言葉を聞き違えたのだ、そう祈って。
「うん....あのね───
アスラが....アスラが変な人達にね、捕まっちゃったの」
だが、返ってきた言葉は同じだった。
この自分の老いた耳は....こんな時に限って、聞き違いをしてはくれなかった。
───アスラが捕まった。
その言葉の意味を、当の子供たちは理解はしていないだろう。
だが、ジルには
その言葉の意味....残酷なその意味が
嫌でも分かってしまった。