〜1〜




いつもと同じ、ほのぼのとした時間が流れるこの場所。

陽の光が、ボロボロの白い廃墟の壁に反射して
辺り一面が温かい。






だが、そんな穏やかな時の流れる空間が

唐突に聞こえてきた叫び声によって....無惨にも壊されることとなる。





「大変だ、大変だよッ!!」



パタパタという小さい足音と共に、その叫び声は次第に近付いてくる。

大きな....大きな波乱を連れて。








「....な...何じゃ、何があったんだ!?」



そんな唐突な叫び声に
日向で、うとうと寝かけていたジルは

ハッと目を開け飛び起きた。






「大変だよ!ジル爺ちゃん!!
大変なんだよぉッ!!」




入りかけていた眠りから引き戻され、まだ何も状況が把握出来ていないジルは

目の前まで駆けてきた子供たちを前に、動揺する。


そして息を切らし、必死に何かを伝えようとする子供たちに
ジルは口を開いた。






「た....大変なのは分かった!!

一体、何があったんじゃ?分かるように説明してくれんか?」




焦り、蒼白した顔の子供たち。

状況はまだ掴めないが、
きっと良くないことが起こったのだろう。
そうジルにも推測出来た。





「───うん。えっとね.....」



子供たちは、幼い子供の頭ながらも必死に
伝えるべきことを伝えようと一生懸命に言葉を並べた。