「ち....ちゃんと隅々まで隈無く捜せ!
何か、何か一つくらいは奴に繋がる手掛かりがあるだろう!?」
そう怒鳴る。
だが中を見てきた兵達は、ただ困ったように顔を見合わすばかり。
その顔には表立っては出さないが、この廃墟やジル達への憐れみのような感情が隠れているのが分かった。
「っ!仕方ない、俺が行く!
お前達は此処でこの老人を見張っていろっ!」
「は....はっ!」
困ったように顔を見合わせるだけの兵達に、苛々してきたのだろう。
そう言って、一人今度は自ら廃墟の中へとズカズカ入っていく。
何か見つけてやる。
中へと消えるその背中には、その意志が満々と溢れていた。
だが綿密にクロア達によって処理されたその場所には、やはり何も残ってはない。
その数秒後。
彼が苦い顔をして出てきたのは、言うまでもなかった。