流れるような深紅の髪に、煌めく紅の瞳。
彼女の姿が、シュリの意識を捉えて離さない。
「何故だ......」
立場は圧倒的に下なはずなのに、あの強気な視線。
あの状況下でも、自分に真っ直ぐと向かってくるあの姿勢。
新鮮だった。正直、衝撃だった。
だって考えても見て欲しい。
相手は盗賊。
しかも牢屋の中の囚われの身で、死刑を宣告されている女。
そしてこちらは一国の王であり、相手の命を握っていると言っても過言ではない立場。
そんな状況を前に、普通はまともに居られる奴は居ないだろう。
実際そんな二人が一対一で対峙しての、前者の態度はだいたい決まっている。
死を前に気が狂い暴れる。絶望で魂の抜けた人形のようになる。
はたまた、泣き崩れ、叫び命乞いをする。
そう。
シュリはそんな者たちの姿を、ずっと見てきた。
「何故なんだ.....」
なのに彼女は、違った。
彼女はシュリと対等に向き合う。
それだけではない。彼女は鉄格子越しの冷たい地下牢の中、シュリに言ったのだ。