「.......恐らく明日、アスラの刑が執行されるわ。
それまでがリミット―――時間に猶予はないわ。団長」
後ろでクロアたちのやり取りを静かに見ていたレイアは、一つ大きく息を吸い込み決意をしたように口を開く。
夜空に浮かぶ月を見上げ、もうすぐ来るはずの朝をレイアはその夜空に見ていた。
「明日の正午....明日の正午に街の広場でだ!
そうアスラが言ってたぜ、おっさん!」
続けてバルトも口を開く。
その言葉は、いずれもクロアに向けられており視線もクロアへと集中する。
「どうしますかな、団長さん?」
そしてクロアへと掛けられる三つ目の言葉。
全ての言葉、全ての視線を注がれたクロアは何も言わずに黙り込み、スッと一旦目を閉じる。
そして暫らくして、カッとクロアの瞳は見開かれた。
「―――今からアスラ救出の準備に取り掛かる。
明日の正午に遅れるわけにはいかない....行くぞッ」
「―――了解」
仲間を助け出すため、彼等の戦いが始まった。
時間は刻々と迫る。
夜はいつもと同じ、静寂を保ちながら明けて行く。
夜明けの先にあるのは、希望の光か―――否か?