〜1〜
「────また、逃がしたか」
ここは、国の中央にある城。
国の頂点に立つ、王の居る場所。
そこに、低さには欠けるが何処か威圧感のある声が響き渡った。
声の主は玉座へ腰を据え、自分へと報告にやって来た兵を軽く見下ろすような形で、そこに居た。
威厳のある王様。
そう思わせる光景だが、ほんの少しだけ何かが欠けているようだった。
その欠けた何かは、はっきりとは分からない。
だが原因は恐らく、王座に腰を据える彼。つまり王の姿にあるのだと、そう思った。
「申し訳ありません、シュリ様。
我々の力が及ばぬばかりに、あのような悪人をこの国に」
そして見下ろす彼の視線の先には、跪く数人の兵士たち。
玉座へと腰を据える王―――つまりシュリと呼ばれたその少年を前にする兵士たちは、血の気の盛んな若者ばかり。25歳から30歳くらいだろうか。
兵士としては妥当な年齢のものばかりだ。
別にそこに関しては、何もおかしいことはない。
「.....またあの紅い瞳の奴か」
そんな兵たちの悔しそうな様子に、その逃げられた相手を察してシュリは軽く溜め息をつく。
シュリは、ゆっくりと王座から立ち上がる。
そしてゆらりとした足取りで兵たちの元へ歩み寄るように動き出した。
「────ッ!」
その気配を感じて兵は皆、身体を強張らせる。
「────また、逃がしたか」
ここは、国の中央にある城。
国の頂点に立つ、王の居る場所。
そこに、低さには欠けるが何処か威圧感のある声が響き渡った。
声の主は玉座へ腰を据え、自分へと報告にやって来た兵を軽く見下ろすような形で、そこに居た。
威厳のある王様。
そう思わせる光景だが、ほんの少しだけ何かが欠けているようだった。
その欠けた何かは、はっきりとは分からない。
だが原因は恐らく、王座に腰を据える彼。つまり王の姿にあるのだと、そう思った。
「申し訳ありません、シュリ様。
我々の力が及ばぬばかりに、あのような悪人をこの国に」
そして見下ろす彼の視線の先には、跪く数人の兵士たち。
玉座へと腰を据える王―――つまりシュリと呼ばれたその少年を前にする兵士たちは、血の気の盛んな若者ばかり。25歳から30歳くらいだろうか。
兵士としては妥当な年齢のものばかりだ。
別にそこに関しては、何もおかしいことはない。
「.....またあの紅い瞳の奴か」
そんな兵たちの悔しそうな様子に、その逃げられた相手を察してシュリは軽く溜め息をつく。
シュリは、ゆっくりと王座から立ち上がる。
そしてゆらりとした足取りで兵たちの元へ歩み寄るように動き出した。
「────ッ!」
その気配を感じて兵は皆、身体を強張らせる。