だからアスラは、好意に甘えて使わせてもらっているというわけ。
「────にしても、今日はいつも以上に疲れたな」
軽く腰を掛けた状態で、アスラは軽く背中を伸ばす。
すると軽く間接がポキポキと鳴るのが聞こえた。
「.....今日は、もう寝るか」
グッと伸びをして数秒後。
急に込み上げてきた欠伸と眠気に逆らえずに、アスラはそのままベッドへと倒れ込む。
―――ふわりっ。
と、その拍子にずっとアスラを隠していたフードがアスラの頭からずり落ちた。
サラッ。
それと同時に露になるアスラの紅い瞳。
そして流れるように広がる、赤ワインを溢したような綺麗なワインレッドの髪の毛。
フードの中から零れたその髪の毛はフワッと舞い上がり、アスラの―――彼女の顔へと舞い落ちた。
「んんぅ.....」
だが、眠さに勝てなくなったアスラは顔をかかった髪の毛を払おうと手を掛けたところでそのまま意識を手放す。
静かになったその空間にはいつものちょっと荒めの口調からは想像出来ないような、まだ少女のようなあどけなさの残った安らかな寝顔だけが、そこにあるだけだった。