でも、不思議と自分が惨めに思えたり、悲しくなったりはしない。
それどころか、
みんなの輪の中にいる優人を見てると、
元気を貰えるんだ。
自分が持ってないものを沢山持っている雄人はいつもキラキラしてて、
気付いたら目で追ってた。
ある日、あぁ、これが恋なんだって実感した。いつ、何がキッカケでそう思ったかは自分でもよく分かんないけど、
優人が好きなんだって、
すごく思った。
最初は幼馴染だから、とか
顔がかっこいいから
なのかと思ったけど、どうやら違うみたい。
岸本優人ってやつが好き。
だから、これからも同じように喧嘩しながらも一緒に登校して、同じ学校でキラキラしている優人を見ていたかった。
数学が致命的だった私に西岡高校はかなりのチャレンジだったけど、優人と一緒だったから頑張れた。優人が特訓してくれたから頑張れたんだよ。
好きな人を想う気持ちって、本当大きい。
見事、私は西岡高校に合格することが出来た。
これも全部優人のおかげ。
なーんて、口が裂けても、死んでも優人には言えないんだ。
だから、素直になれない私は変わりにこう言っといた。
『優人のおかげじゃないんだからね!』