「甘い!甘すぎるよ。七海は!」

教室に戻ってさっきの一部始終と犯人探しに乗り気じゃないことを言ったら裕子に怒られた。


「こんなの放置してたら悪化するだけだよ。それに私犯人って七海の身近にいる人だと思うんだよね」

ドキッとしてしまった。


「だってサイトに載ってた写真って学校内で撮られたものだったでしょ?それに七海の連絡先を知ってるってことはそういうことだよ」

「で、でも今って頑張れば色々調べられちゃうし、たまたま私がターゲットになっただけで……」

「たまたま?そんなわけないでしょ。七海は人に恨みを買う人じゃないけど相手がどう思ってるかなんて分からないし、本当に心当たりはないの?」


なんだか裕子が探偵に見えてきた。

心当たりなんてないけど、たしかこの前靴箱にゴミが入ってた気がする。

あんまり気にしてなかったけど、もしあれがなにかの前兆だとしたら……やっぱり私は誰かに恨まれてるんだろうか?

すると裕子が飲みかけのお茶を机に置いて真面目な顔をした。


「こんなこと言ったら七海は怒るかもしれないけど、私栗原先輩が怪しいって思ってる」

「え?栗原先輩?なんで……」

「だって八島くんの彼女だし、七海に嫉妬してって考えればつじつまが合うと思わない?」

栗原先輩なら私の写メも撮れるし連絡先も知ってるけど、そんな人は先輩だけじゃないし。それに……。


「栗原先輩は違うよ!さっきも助けてくれたし、そんなこと絶対する人じゃない」

「だけどさ……」

「とにかく栗原先輩のことは疑わないで。ハチの彼女だし、悪く言ってるみたいでイヤだ」


それでも裕子は納得してなさそうな顔をしてたけど、私は断固、栗原先輩は違うと言い続けた。

犯人探しって誰でも怪しく見えちゃうし、疑いたくなるから乗り気じゃなかった。

犯人が見つからなくてもこの騒ぎが鎮火すれば私はいいし、早くこの状況が過ぎ去ってほしい。