「ちょっと!陰口とかマジでダサいから止めた方がいいよ」
――その時、その女子たちに対して怒鳴る声が。
「七海ちゃんはそんな子じゃないから。勝手に話大きくしたり広めたりしないでくれない?今度また同じように言ったら絶対許さないから!」
それは栗原先輩だった。
女子たちは逃げるようにその場を立ち去って、その後ろ姿にまで栗原先輩は睨みつけていた。
「七海ちゃん大丈夫?あんなの気にする必要ないんだからね」
「先輩……ありがとうございます。……あれ」
気づくと私は無意識にぽろぽろと涙が出ていた。
気にしていないふりをしてたけど本当は怖くて、先輩が目の前で怒ってくれたのを見たらなぜか安心して泣けてきた。
「これ使って」
先輩はポケットからピンク色のハンカチを差し出してくれた。それで涙を拭くと柔軟剤のいい匂いがして、先輩はどこまでも女子力が高い人。
「ごめんね。私もあのサイトが友達から回ってきて見ちゃったの。だからずっと七海ちゃんのことが気掛かりだった」
回ってきたってことはやっぱり面白がってる人がいるってことだよね。どうせ3年生にも知られてるんだろうし、ますます学校にいるのが苦痛になってきちゃったよ。
「でも七海ちゃん本人になりすましてあんなことするなんて本当にひどいね。警察に相談した?犯人に心当たりはないの?」
「警察にはまだ……。犯人も全く分からなくて」
「だよね。私も過去に似たようなことされたけど警察って全然役に立たないし、結局なにもしてくれなかったよ。ネットだと匿名でなんでもできちゃうし怖くよね」
「……はい」
「私になにかできることがあったら言って。これでも一応顔は広いし犯人の手掛かりとか掴めるかもしれないから」
「ありがとうございます」
……犯人か。
誰かがやらなきゃこんな事態になってないし、私のことが気に入らない誰かがやったんだろうけど。
犯人探しってなんかイヤな言葉だな。