なんでも近所の由実さんが結婚するんでその人が写ってる写真を探してたみたい。結婚式で流す生い立ちムービーに使いたい写真があるんだって。
「もしかしてあの上にあるんじゃないの?」
桐タンスの上にそれらしき物がありそうだけど。
「あれはなにかに乗らないと取れないわね……」
お母さんは困ったと辺りを見渡した。
「あとでお父さんにやってもらいなよ。ここ足の踏み場不安定だし普通に危ないじゃん」
「お父さんでも届かないわよ」
あ、たしかに。
お父さん背低いしお母さんも低い。私は平均的だけどそれでも156センチしかない。遺伝子って怖い。
「あ、瞬くんに来てもらえばいいじゃない!」
「……」
ひらめいた!みたいな顔してるけど私は無言。
ハチなら背高いし取れそうだけど……。
「今日はムリだよ。多分デート」
最近ハチとは一緒に帰ってない。
約束してたわけじゃないけど登下校はずっと一緒だった。でも栗原先輩が迎えに来るようになって
『3人で帰ろうよ』とハチは能天気に言うけどそれはさすがに……って私はひとりで帰るようになった。
先輩は放課後デートしたいみたいだし、そうじゃない日もあるかもしれないけど私だって空気ぐらい読むよ。
「あら、瞬くん彼女できたの?」
お母さんはアルバムよりもハチの彼女が気になって仕方がないって顔してる。
どんな子?ってしつこいしお母さん私より恋ばな好きだから困る。ハマってるドラマも全部ラブストーリーだし。
「なに騒いでるの?」
――その時、背後で声がした。
振り向くとそこにはハチがいた。