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バンッ!!と勢いよく理科室のドアを開けた。
手にはふたつのお弁当。昼休みなのに急いで走っちゃったしなんか息切れしちゃってるし。
「あ、ナナ」
声がした方を見るとハチはドアのすぐ近くにいて壁に寄り掛かって座っていた。
「もうなんなの。説明してよ」
「まぁまぁまぁ」
ハチは私の腕を引っ張って座るようになだめた。
ハチのせいで昼休みあと15分しかないし、お弁当食べずに午後の授業受けるとか死んじゃう。
「俺の弁当ありがとう。まじ腹ペコでやばかった」
ハチは早速お弁当を広げて犬のようにがっついていた。あ、歪な卵焼き食べてる……とか思ってる場合じゃない。私もとりあえず食べよう。
理科室は前の授業で実験をしたのか少し火薬臭さが残っていた。
「んで、なにがなんなの?」
やっと海老フライを食べれた私は少し落ち着いた。
「あー、なんか女子から質問攻めになっちゃって。ちょっと面倒だったから逃げてきた」
ハチは手品みたいにお弁当をすぐ完食して毎朝時間をかけて作ってるこっちの身にもなってよ、と呆れつつ私は冷静に分析した。
「質問って栗原先輩と付き合うことになったから?」
「うん」