「本当はね、瞬との動画でも撮ってそれで脅そうと思ったんだけど、アイツぜんぜん手出してこなくて。こっちが誘っても見向きもしないし。もしかしてアッチ系が好きな人?」
逃げなきゃ、逃げなきゃ。
「私の誘いに乗らないなんて本当にバカな男。だからその役目を七海ちゃんにしてもらおうと思って」
そう言って取り出したのはビデオカメラ。
「大丈夫だよ。こいつら慣れてるし痛いのは最初だけ。きっとすぐ七海ちゃんもその気になるから」
「やめて。頭オカシイよ」
「私にそんなこと言っていいの?これから撮る動画をSNSや裏サイトに流しちゃうよ?そんなことになったら二度と外を歩けないし名指しされちゃうね」
「……っ」
「だから私のこともこのこともだれにも言っちゃダメ。七海ちゃんは頭がいいから分かるよね?」
ジリジリと私との距離を詰める男たち。
体を前後に揺らして紐をなんとかしようとしてるけど、ギシギシッと柱が軋(き)むだけ。
逃げたいのに逃げられない。
全身が恐怖で震えて、大声すら出せなかった。
助けて、助けて、だれか。
ハチ……っ!