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それから学校が終わり、私はバスに乗って水上森公園へと向かった。バス停前にある公園には犬の散歩をしてる人やジョギングをしている人たちがいた。
とりあえず指定された噴水の前に立って、健二くんに【着いたよ】とメールをした。
あれから例のサイト上にあった私の名前は削除されて、裕子の話では運営違反でやっと警察が動き始めたんだとか。
高校生が稼いだお金の5パーセントは運営側に払うシステムだったらしいし、登録者はみんな未成年だったから本当に嫌なサイトだった。
私の名前が消えて電話番号もラインも新しくしたから迷惑な連絡がくることはなくなったけど、いまだにスマホが鳴るとドキッとしたりする。
……本当に私のプロフィールや連絡先を登録したのは誰だったんだろう。
騒ぎも収まったし、精神的なダメージはあったけど直接的な被害はなかったから今さら犯人を突き止めたいとは思わないけど……気にならないといえば嘘になる。
「七海ちゃん」
そんなことを考えていると、制服姿の健二くんが待ち合わせ場所にきた。
……鈴高の制服って着てるだけで凛として見えて羨ましいなぁ。
「ごめんね?俺から誘ったのにこっちに来てもらって」
「ううん。大丈夫。むしろ今回は私がそっちに行くよって言うつもりだったし。いつも来てもらってばかりじゃ悪いから」
そう言うと健二くんの目が優しく細くなった。
なんだかんだ健二くんとの関係は続いているし、話したり会ったりするのにも慣れてきた。