そのあと私と健二くんはフラフラと色々なお店を見てまわって、日が沈みはじめた頃ようやく今日1日のデートが終わった。
あの誘いの返事はまた保留にしてもらった。
今日はハチ離れの口実に利用してしまった感じもするし、健二くんが本気で私のことを想ってくれてるなら私も真剣に考えなきゃ。
じゃないと悪い気がする。
誰かと付き合うとか彼氏彼女とか前までは頭の片隅にもなかったのに最近はよく考える。
きっと一番身近な人の影響が大きいと思うけど。
だってハチだって中学生までは『彼女作るの向いてない』って言ってし、欲しそうにもしてなかった。
正直、栗原先輩と付き合いはじめて、またすぐにハチは飽きてしまうって心のどこかで思ってたんだ。
ハチの興味なんて食べることと猫のミーコのことしかないって。
だからちゃんと恋愛してるハチを見て羨ましいって思うよ。
スゴいなって。この前まで子どもだったのに急に大人びちゃってズルいなって。
きっと私は焦っているのかもしれない。
ハチに置いてきぼりにされている気がして。
――その時、ドンッと後ろから肩をぶつけられて、そのまま私を通りすぎるからその背中を睨みつけた。
「ぶつかったら謝ってくださーい」
「のろのろ歩いてるから悪いんだろ」
「今のわざとでしょ」
それはハチだった。
噂をすればというやつだ。まぁ、噂は私の心の中でしてたんだけど。