日曜は決まって遊びに行ってるし、先輩の洋服はどう見てもデート服。

動揺で口の中に入ってるパンケーキがうまく飲みこめない。頑張って飲み物で流して平然を装った。


「ほ、本当に偶然ですね!ビックリ。ハチもヤッホー」

「……」

シカトですか。私のヤッホーを返せ。


「もしかして七海ちゃんの彼氏?」

先輩たちはテイクアウトの飲み物だけを買いに来たらしく、席には座らなかった。


「いや、彼氏じゃなくて……」

「超イケメンさんだね!こんにちわ。デート中ですか?」

先輩はテンションが上がっているのか私の返事を通り越していく。


「どうも。まだ彼氏じゃなくていずれそうなれたらな……なんて」

「えー七海ちゃんにアタック中なんですね!七海ちゃんいい子だし可愛いし、私も大好きなんです」

なぜか盛り上がるふたりの会話。

チラッとハチを見るとハチは黙ってホットココアを店員さんから受け取っていた。


……っていうかハチの態度悪すぎない?

今回私は嘘も付いてないし、ハチにシカトされるようなことはしてないよ。健二くんとも初対面じゃないんだし挨拶ぐらいあってもよくない?


「……あ、そういえば七海ちゃんあのことどうなった?私ずっと心配で……」


ドキッとする話題。

ここでしなくても……と思いつつ、私は必死で作り笑いを浮かべた。


「へ、平気です!ご心配ありがとうございます。……あ、そうだ。これハンカチ……」

「えー私に返す為にいつも持ち歩いてたの?気にしなくていいのに」

私は学校でも出先でもいつでも返せるようにカバンに入れていた。今日は想定外だったけど、持ってきていてよかった……。


「じゃ、私たちそろそろ行くね。ふたりともごゆっくり」

先輩がキラキラとした笑顔で手を振った。ハチは相変わらず私と目も合わさない。


「ねぇ、今からうちに来ない?この前見たいって言ってたDVDあるよ」

カランカランッとお店のドアに閉まる寸前に聞こえた会話。しかも先輩はハチの腕を組ながら。