廊下を歩く莉菜子の背中はすぐに見つけた。
その前にはさっきの男子が歩いている。
人の彼女どこに連れてくつもりだよ。
っていうか莉菜子もひょこひょこ付いていくな。
追いついた莉菜子の肩に手をかけて自分の背に隠すと、前を歩く男子に声をかける。
「おい」
振り向いた男子は不思議そうな顔で俺を見た。
とぼける気か?
同じクラスなら俺が彼氏だって知ってるだろ。
不思議そうな顔を崩さない男子に聞く。
「人の彼女に何の用?」
途端、男子は困ったような顔をした。
その時、後ろから声がする。
「やめて、咲斗」
「は?」
振り返ると、莉菜子は俺をまっすぐに見た。