結局、その後、莉菜子を家まで送ったけれど、その道中一言も口を聞いてはもらえなかった。


納得の行く話どころか、喧嘩みたいになったまま、次の日の朝を迎える。


教室に入ると、いつものようにもう莉菜子は登校していた。


昨日側にいた若松の隣でまた別の女子数人と笑顔で話をしている。


声はかけられない。


どうせ無視されるし。


こうなればもう莉菜子の気持ちが収まるのを待つしかない。


自分の席に着いて、いつものように仲のいい男子たちと盛り上がる。


けれど、チラッと見た莉菜子から俺は視線を動かせなくなった。


楽しそうに話す莉菜子たち女子のグループに、1人の男子が話しかけている。


いや、グループにじゃない。


これは莉菜子に対して話しかけている。


何を話しているのかはわからない。


けれど、莉菜子は頷くと席を立った。


そしてその男子の後に付いて教室を出ていく。


ふざけんな。


莉菜子は俺の彼女だ。


荒々しく席を立ち、教室を出る。