手首を掴んだままでいると、莉菜子は俺をまっすぐに見て言った。 「いつも咲斗ばっかり余裕あるみたいでムカつく」 「え?」 掴んでいた手首が強い力でふりほどかれる。 莉菜子はそのまま靴箱へと歩いていってしまう。 余裕・・・? 俺が? どこをどう見てそんなこと言ってるんだよ。 余裕なら絶対に莉菜子の方があるくせに。