「なななな何で!?いつからいたの!?練習は!?」


「今日は終わりだって」


説明しながら、莉菜子の真横まで行くと、まだ驚いた表情のままの莉菜子を優しく見下ろす。


「何か不安なことあるならちゃんと言えよ」


途端、バッと下を向いてしまう莉菜子。


相当気まずいのか、俺と反対側に顔を背けている。


こうなるともうちゃんと目を合わせてくれるまでには時間がかかる。


友達の目があればなおさらだ。


「言ってくれればちゃんと不安に思わせないようにするから」


自分に使える最大限の甘い言葉を使ったつもりだけど、ダメ・・・ですかね?


顔を伏せたままの莉菜子とそれを心配そうに見つめる若松。


しょうがない、本当は苦手なんだけど・・・


莉菜子の頭をぽんぽんと撫でてから先に歩き出す。


「玄関で待ってる。いくらでも聞くからちゃんと話そう」


そのまま教室を出ようとした時だった。


「ムカつく・・・」


自分の想像とは違った言葉にびっくりして振り返ると、莉菜子はうつむいたまま続けた。


「女の子なら頭撫でとけばいいとか思ってるんでしょ!」


・・・。


いや、うん、軽率でした。


「あたしをそこら辺の女子と一緒にしないで!」