別れるなんてことにならないとは思う。


いや、今、ここに莉菜子がいないことが何よりの答えなのかもしれない。


今まで言葉にしてこなかった俺へ最後に返した莉菜子の態度なのかもしれない。


わかんねーよ、もう。


莉菜子の本心はどこだ?


不安すぎる。


もし莉菜子に別れを切り出されたら俺は・・・



「あれ?お疲れさま」


聞き慣れた声に振り返る。


そこに立っていたのはいつも通りの莉菜子の姿。


持っていた鞄を投げ捨て、その小さな体を抱きしめる。


「ちょっ、咲斗?」


それに答えず、ただぎゅっと強く抱きしめる。


「何が俺ばっか余裕あるだよ・・・」


「え?」


「わかってんだろ?莉菜子が他の男子と話せばやきもちだって妬くし、フられるかもって思えば不安にもなる。余裕なんてないんだよ、全然」