「次の授業の準備行くの」


え・・・?


次の授業の・・・?


男子を見ると、そいつは感じのいい笑顔を見せた。


「いいね、仲良しで。あ、勘違いしないで。桐山くんの彼女盗ったりしないよ」


優しい笑顔。


途端、顔が熱くなっていくのがわかる。


何、これ。


俺、マジで恥ずかしい奴じゃん。


見れば、ほんのり笑っている莉菜子の姿。


くそー、ムカつく。


「邪魔してすみませんでしたね」


穴があったら入りたいってこういうことだ。


早足で教室に向かう。


余裕があるって言うのはあの男子みたいなことを言うんだよ。


勘違いにも余裕の対応。


くそー、それに比べて自分はマジでかっこわるい。


ほんのり笑っていた莉菜子にも腹立つし。


こういう男のどこを見て余裕があるなんて言ってるんだ。


ムカつく。


顔が熱い。


余裕なんてどこにもないよ。