詩織は説明する口を止め、キョトンとした顔で僕を見つめていた。

ほら、戸惑わせてしまったじゃないか。

僕の悪い癖だ。詩織の言葉も気持ちも遮ってしまった。

思っていることをすぐに口にしてしまうこの性格がイヤになる。

黙った彼女は、きっと断りの言葉を選んでいるに違いない。

「ごめん、い……」
「うん、いいよ!」

えっ⁈

僕はせめて彼女にノーと言わせないように、今のは忘れて、と言おうとしたのだが。

「えっ?」

詩織の微笑みは、僕にイエスを伝えていた。

「いつにする?」

なんて言いながらもうカバンからスケジュール帳まで取り出している詩織を、僕はただボーッと見つめていた。

僕が何故詩織に惹かれるのか分かった気がする。

「えっと……」

僕もカバンからバイトのシフトが書かれたプリントを取り出す。バイト以外の予定なんてこの際どうでもいい。

いつも思っていることをすぐに口に出してしまう僕。人見知りもしないし、誰とでもすぐに仲良くなれるのは、自分の長所だと思っている。