華奢な指にはめられたそれは、やっぱり詩織にとてもよく似合っていた。

自分の手を街灯の灯りに照らして眺めている詩織の目にはうっすらと涙が浮かんでいる。

泣くのが苦手ーー

女子らしくないなんて彼女は言うけれど、そんなところを僕は、彼女らしいと思っていて。

「ありがとう……可愛いね」

絞り出すような彼女の声に、僕の胸はギュッとなる。

どうやら気に入ってくれたようだ。

「これからも、よろしく」
「あはは、うん。こちらこそ」

そう言った2人は、あの7年前と同じように肩をよせ抱き合った。

僕があげた指輪を、詩織はずっと眺めていた。

「ほんと、ユキヤナギみたいだね」

「だろう?見つけた時は、これだ!て思ったよ」

「ふふふ、春太が指輪って」

きっと僕がアクセサリー屋で悩んでいるのを想像しているのだろう。

「なんだよ、笑うなよ」

そりゃ、恥ずかしかったさ。

「あは、ごめんごめん」

それでも詩織の笑いは止まらないみたいだった。きっと喜んでくれているのだろう。

「7年前と比べたら成長してるのかな」
「ん?」

詩織は目の前の白い花を見ながら言うので、僕はユキヤナギが成長している話かと思った。

「私たち……」

ああ、そうか。僕たちのことか。