「春太!」
何度目かの深呼吸をした時、背後から聞き慣れた詩織の声が聞こえ僕の心臓がドクンと今日一番の大きな音を立てた。
「ごめんね、待った?」
「いや、少し前に来たところだよ」
幾度となく確認したポケットの中の指輪をまた触る。詩織は何も変わらない、いつも通りの笑顔だ。
「満開だね〜。ちょうど街灯があたって、ライトアップされてるみたい」
よし、ロマンチックな雰囲気はオッケーだ。
そんな僕の気持ちを知ってか知らずか、詩織はいつものように定位置になっている僕の左隣りに座る。
そして詩織は、いつも図書館を利用する耳の遠いお爺さんの話をし始める。
これは切り出すタイミングも、難しそうだ。
「……でね、私もつい大きな声を出してしまってね、もちろんお爺さんも大きな声だし」
「あはは、それは仕方ないよ、聞こえないんだもんな」
「そう、だけど周りの人たちにもちょっと変な目で見られちゃって、恥ずかしくなったよ」
たわいもない、いつもの会話が僕の高まる気持ちを少し落ち着かせる。
何度目かの深呼吸をした時、背後から聞き慣れた詩織の声が聞こえ僕の心臓がドクンと今日一番の大きな音を立てた。
「ごめんね、待った?」
「いや、少し前に来たところだよ」
幾度となく確認したポケットの中の指輪をまた触る。詩織は何も変わらない、いつも通りの笑顔だ。
「満開だね〜。ちょうど街灯があたって、ライトアップされてるみたい」
よし、ロマンチックな雰囲気はオッケーだ。
そんな僕の気持ちを知ってか知らずか、詩織はいつものように定位置になっている僕の左隣りに座る。
そして詩織は、いつも図書館を利用する耳の遠いお爺さんの話をし始める。
これは切り出すタイミングも、難しそうだ。
「……でね、私もつい大きな声を出してしまってね、もちろんお爺さんも大きな声だし」
「あはは、それは仕方ないよ、聞こえないんだもんな」
「そう、だけど周りの人たちにもちょっと変な目で見られちゃって、恥ずかしくなったよ」
たわいもない、いつもの会話が僕の高まる気持ちを少し落ち着かせる。