「黄縁叡執のように対峙する敵にも、隗赫鰍掩のように支援する味方にも俺はなれない。」



生が地獄で、死が天国のような裏の世界は理解出来ない。



「貴様が、罪に許されないなら、自分が許せないなら、一緒に地獄にだって堕ちてやる。だから、俺の前から、二度と消えてくれるな。」



ただ、蜜穿と居たいだけだから。



「お前にみつばちの何が分かるんや?表でノウノウと正義感振りかざしとるサツに、裏と関わりおう覚悟があるんかいな?」


「覚悟?飴魏蜜穿の過去は知っている。だが、どんな過去を抱えていたとしても、俺が飴魏蜜穿のそばに居られない理由にはならない。日本は法治国家だ、罪を犯したら償えばいい。反省してやり直したい気持ちさえあればいいだけだ。」



拳銃を向けているものの一発撃って落ち着いたのか、叡執は殊犂と会話が出来ていた。



殊犂は相変わらず左手は蜜穿の腕を掴んだままで、口調もハッキリしている。


しかし、額には冷や汗が見え、スーツのジャケットで見えづらいが脇腹を押さえている手は先程よりも血に染まっていた。



掴まれている手を、前みたいに振りほどけないのは何故か。


蜜穿はもう分かっていた。