ふと、そんな感覚に襲われる時がある。



確実に目に見えるのに不確かな犯罪者に、目に見えないのに確実な罪。



逮捕することに固執した結果、評価され昇進してきた。


変わったのは実力主義の周りか、変わってしまったのはそれに感化された自分か。



その変化が幸か不幸か分からないが、いつまでも思考に浸っている訳にもいかない。



「剥嚔石、後はいつも通り回っておけ。」


「はい!お疲れ様でした!」



去る姿はかっこよく、やはりああなりたいと思う。



日々鍛練を重ねているが、強くなりたいと思うのは勝負で勝ちたいからではない。


守らなければならない時に仲間と戦う為、殊犂の足手纏いにならず戦力になれるように。



その時が来たら同じ舞台で隣に立てるように。



きぃーせ、とあだ名で呼ぶ上司が多い中、当の殊犂からはなかなか呼んでもらえないのだが。



「よしっ!」



悪ガキ共の態度に諦めそうになる時がある。


けれど、全てを現在-イマ-に繋いでいく。


選んできたこの過去-ミチ-は間違ってない。


光-ミライ-へノンストップで走り続ける。



そう誓い、掎蹟は気合いを入れ直した。