「末吉~~~~…!」


おみくじの前でもお祈りをしたのに、凶ではなかったのにしろ、がっくしの結果だった。


「……恋人、来ない」

「うそ!」


安堂くんに中身を読まれて、目を見開いた。


―恋人、来るが想い人でなし―


「どういうこと…!!」


恋人は出来るけど、好きな人じゃないってこと!?

悲しい結果に、愕然とした。


「あ、安堂くんは!? 安堂くんはどうなの!?」


あたしはまだ、末吉だ!

まだ、下がある!!



―大吉―

―恋人、熱く成就する。復縁も運あり―


「―――――…………、」


二人の時が、止まった。


「よ、良かったじゃん!先生と戻れるなら…、ねっ!うん、良かった、良かった!」


バシバシと安堂くんの背中を叩いた。


「あ、ちょっと待っててね!あたし、おみくじ結んでくる…っ」


大袈裟に、その方向を指差して、駆け早に移動した。

何も動揺することなんてない。

そりゃ教師と生徒の恋愛は禁断だけど…、安堂くんはあんなに真剣なんだし、それに…それに…っ。


「…手袋のままじゃ結べないんじゃない?」


上手く結べなくて手こずっていると、安堂くんが隣に並んだ。

安堂くんもおみくじを結ぼうとしている。


「あっ…、何で安堂くんまで…!いい内容の時は持って帰って、身につけとかないといけないんだよ…っ!!」


慌ててそれをやめさせようとした。


「……いーよ。おみくじなんて俺、あんまり信じないし」


安堂くんはひょうひょうと、いつもの無表情な横顔を見せる。

冷たい空気の中、ごつごつとした関節を見せる指先がやたら浮き上がって見えた。


「小林のも結んであげよっか?」


それに見とれていたあたしは、勢いよく頭を振った。