緊張したのは最初だけで、それからはギャースカといつもの通り、騒いでいた。

二人で近くの神社を目指している時に、新年を迎えて、どっちが先に挨拶をするか(頭を下げるか)で数分揉めた。

結局あたしから言わされた。

地元の神社だったけど、意外と人は多かった。

参拝するには、長い列に並ばないといけなかったが、安堂くんはあたしの時間が大丈夫なら並びたい、と言った。

そんなにお願いしたいことがあるのか。

去年も外で、年越しをしているから、時間は平気だと答えた。


「じゃ、並ぶ」


安堂くんは「ん」と頷いて、長蛇の列に並んだ。

その列は思いの外、長くて、会話が持つのかと、ふいに不安になった。

周りを見渡せば、家族連れや夫婦の中に、中学生~高校生くらいのカップルがたくさんいた。

傍から見れば、あたし達も恋人同士に見えるのかな…?なんて思ったりして、ちょっと恥ずかしくなった。


(なんてねっ)


「うわ、あの人かっこよくない!?」


参拝が終わって帰って行く女の子数人組の声が聞こえる。

その対象は今、あたしの隣に立つこの人に向けられているだろう。


「小林、何か飲み物いる?」

「あ…!ちぇ、彼女いたしー!」

「…………っ」


人込みであたしの姿は見えていなかったらしい。

女の子達は、安堂くんの隣にいたあたしに気が付いて、小さく顔を歪めていた。


「小林?」

「え、あ、うん!」


改めて、見知らぬ女の子達に“カッコイイ”と言われると、今目の前にいるこの人がとってもかっこよく思えてきた。

いや、相当カッコイイんだ。

でも一緒にいると、…楽しくて。