相変わらずの大晦日。

みんなで鍋を突きながら紅白を見て、いつも通りの夜が更けていく。

携帯は鳴らないままだし、雪もまだ降っていないみたいだし。


「……はぁ」

「あら?もういらないの?」

「ごちそうさまぁー」


1階にいても仕方ないと、携帯を持って2階に上がった。

部屋の暖房をつけて、そっとカーテンの外を覗いた。

窓は結露していて、じわじわと濡れている。

顔を近付けるとすぐさまそこが白く曇った。

雪はまだ、降っていない。

せっかくの大晦日なのに暇過ぎて、あたしは安堂くんに貰った憎たらしい本を広げてみた。


(だってもう、あけおめ文章も作っちゃったし)


回線が混むから数分前に送信したいけど、それだと暇な女なんだってバレちゃうし。

安堂くんにも送ろうかどうしようか、ずっと悩んでる。

さらっと送るくらいならいいよね。

一応、クラスメートなんだし。


「…………、」


本に書かれたポーズを真似しながら、一人悶々と考えていた。

新年が明けちゃうまで、残り45分。