「……ほんとに、バカなんだね」

「!!!」


路地を曲がったすぐの所に、安堂くんが壁に寄り掛かって立っていた。


「あ、安堂くんっ!!!!」

「どうしてこんな所に…!? お家ずっと向こうだよね!?」

「色んな人が“だるまさんが転んだ”してたからね」


その言葉にドキッとする。

ば、バレてた…!?


「小林こそ、こんな所でどうしたの?家、駅で2つは先だよね?」

「う゛」

「…あ、もしかして小林も欲しいの?ボタン」

「…え…、」


安堂くんの言葉に顔を上げる。

ボタン…?

…ああ、そうか。

女子達みんな、ボタン目当てに尾けてたんだ!


「あ、違った?欲しいならあげようかと思ったんだけど」

「い、いる!欲しい!」


爪先立ちで手を挙げた。

やったぁ!

もらえるのなら何だって欲しい。

高揚する気持ちを抑えて、安堂くんを見上げると、安堂くんは小さく目を見開いて言った。


「…え、マジで…?冗談、だったんだけど…」


ガーーーーーーーーーン!!!!!


「………ナッチに…連絡しなきゃ」