「お前なあ!」

「ええ、そこ怒るところなのかな!?」


男の子は付き合いきれないという顔をする。

そんな顔されても……と困ったように見つめ返すしか出来なかった。


「非国民か……」

「何それ?」


非、国民?

自分のどこに日本人と疑われる要素を持つと言うのか。


いやいや日本人まで否定されちゃうなんて、私どんな人間なんだそしてひとまず落ち着け心臓。


いいえ、立派な日本国民ですと言い返す。

ぼけーっと頭に無数のハテナマークを浮かべた。


「こんなバカは違うか」


バ、バカはひどい……!

何言い出すんだろう?この男の子は。



「なんかよく分からないけど……服は普通だし、だいたいあなたの服も変だよ。しかも、これはすこし高かったんだから!頑張ってお金を貯めたおこづかいで買った涙と努力の結晶なんだよ!って、あれ……?」


視線の先には、大通りの道で行き交う人が写っていた。