保健室の先生と私。




嫌だ…触れないで?



あれ…私ってば何言ってんだろう。



こんなこと思うなんておかしい…。



「あのっ…私もう今日は帰ります。さようならっ!」



早く帰って頭を冷やしたい。



「おい…!梨々華ちゃん!?」



今は先生の顔を見れるほど余裕ではない。



「あれ…靴が無い?ちゃんとここに入れたはずなのに。」



前もこうゆうことがあった。



もしかして私に誰かが嫌がらせで隠したのかな?



うん、後藤さんがやるとか有り得る。



別にいいや。



こんなんで気にする私じゃないし(笑)



スリッパ借りて帰ろう。



「ちょっと待て!ハァ…」



息を切らしながら、こっちに向かってくる先生。



「山田先生…どうしたんです?生徒を置いてきたら駄目じゃないですか…」



「誰のせいで置いてきたんだよ?」



ドン。



え?



先生に壁ドンされてるー!?



運悪くここは静かな場所。



「ちょっ…先生、何してるんですか?」



「何で帰るわけ?今日はお弁当持ってきたんだろ?」



どうして知ってんのー。



「体調が悪いんで帰りたかったんです。これでいいですか?」



「ふーん。悪そうには見えないけど?さっきまで先生の悪口言ってたしなー」



…っていつまで壁ドン状態よ//!



「それからスリッパなんか持ち出してどうしたの?」



「靴が無くなったので今日だけ借りようとしました。」



「はっ!?よく真顔で言えるな…」



「もう、呆れるくらいされてるんで。」



「先生も探すから。あと絶対に家には帰らせないからな?」



「結構です!早く保健室に戻ってください。」



手当がまだ先生には残ってる。



「何でそんなに俺を警戒してんの?二人っきりの時、笑ってたじゃん。」



「ただ生徒を優先にしてるだけです!由花が怪我してるし」



「由花は教室に戻ったから。また保健室においで?」



そんな優しい眼差しで言わないでよ…。



「本当にしつこいですね。分かりました。」



「だってさー、梨々華ちゃん帰っちゃうと寂しいんだもん(笑)」



また無邪気な笑顔で笑う。



こうだからモテるんだろうな。



「さっきの壁ドンには驚きましたよ。生徒に手を出すとわねー。」



「あんなの梨々華ちゃんだけだし…//」



私…だけ?



期待したら駄目かな。



でも期待して違うなら恥ずかしい。



ううん…傷つくのが怖い。



山田先生に出会って私は色んな感情を知ってく。



恋だって初めてした。



山田先生が全部教えてくれた。



「先生って不思議ですね。」



「ん?何が?」



「それは私だけの秘密です(笑)」



あれ?



保健室を通り過ぎた?



「山田先生!保健室ならここですよ?」



「梨々華ちゃんは先に戻ってて。先生もすぐ戻るから。」



廊下を走っていく。



うーん…何をするのか気になる。



こっそり後つけたら駄目かな?



「でもちょっとだけ!」



先生にバレないよう慎重に後ろから着けていく。



「お前らー、聞きたいことあるから職員室に少し来てくれるか?」



『えーどうするぅ?でも蓮斗先生が言うなら行こっかな♡』



体育をしてる女子生徒に声かけてる。



先生の影で誰か見えない…。



「ありがとう、後藤さん。」



!?



『いーえ♪でもさっきの態度は悲しかったですぅ…傷ついたんですから。』



「ハハッ、ごめん(笑)でも生徒を困らせてた後藤さんも悪いからな?」



よく…話しかけられるな。



私だったら面倒で話しかけたくもないのに。



後藤さんに何の用があるんだろう?



「じゃあ、体育の先生には体調不良って言うな?」



『はーい♡先生とサボれるなんてラッキー♡』



『だよね~♡さっきのことなんて忘れちゃう(笑)』



ヤバ…職員室は私の方面だから急いで保健室に戻らないと!



結局、保健室で待っていた時間は1時間だった。



ま…まさか襲ったりしてないよね!?



「でも後藤さんたち喜んで行ってたし…怪しいな。」



お弁当を一人で食べながら山田先生のことばかり考えてしまう。



ガラガラ――。



「ごめーん!あっ梨々華ちゃんお弁当、食べちゃってたか(笑)」



ニコニコしながら話す。



これってやっぱりアレをした後…?



「随分…遅かったですね!」



「そうだなー…相手に手こずったものだから…」



それって後藤さんですか?



とは絶対に言えない…。



「はい、見つかったよ!」



「え?靴、ですか?」



確かに私のだけど、どうしてこれを?



「実を言うとさ…後藤さんたちが靴を隠したって分かった。」



やっぱりね。



「でも先生…どうやって分かったんです?」



「体育の時間に職員室に呼んで話を聞いた。それで正直に答えてもらったんだ。」



あの時、私のことで呼んでたんだ。