―――2月13日。


彼女に会う『はず』だった前日の今日。
ふらり、と自然と足を運んだのは花屋だった。




…そうだ、あの日もこんな風に花屋に訪れたんだっけな。


そう一言、誰にも聞こえないほど小さな声で零した。



小さな鈴の音を立てながら店の中へと足を踏み入れる。



「いらっしゃいませ!」



その可愛い鈴の音に気づいて、その子は振り返りながら笑顔で挨拶をした。



「本日はどのような花をお探しでしょうか?」


自分より一つ二つくらい歳は下だろうか、
サラサラと流れる黒髪を一つに結った少女はまたも笑顔で問いかける。




「え、っと…」


最初から目的があって訪れたわけではなかったがために、
思わず言葉を詰まらせてしまう。