駅へ向かう麗華先生とはお店を出てすぐに別れ、私は最寄りの停留所からバスに乗った。

バスを降りた後はいつものコンビニへ。

飲み物とお菓子を買って出てくると――。


「千佳」

「(裕也……!?)」


お店を出て少し歩いたところで、会いたくなかった人物に遭遇した。

私を待ち伏せていたのは間違いない。

こんなところで偶然なんてあり得ないもの。


「千佳、なんで電話出てくれないんだよ」


そんなこと言われても、スマホはずっと家だったし。

いや、持っていても出なかった。


「まあいいや、こうして会えたし」


私はぜんぜん会いたくなかったんだけど。


裕也は相変わらずというか、私の都合なんてお構いなしという調子だ。


「とにかくさ、話そうよ」

「私には話すことなんてないから」

「そんなこと言うなよー。俺、おまえに会いたくてここまで来たんだぜ?」


久しぶりに会った裕也は、心なしかくたびれているように見えた。

まえはお洒落に気を遣う人で、スーツをカッコよく着こなしていたのに。

今はもう、以前のスマートな彼は見る影もなかった。


「用なんてあるはずないじゃない。少なくとも私にはないから」

「頼むからさ、話聞いてくれよ」

「聞きたくない。聞かないから」