さっきのスエット姿が嘘みたい。
と感心している場合じゃない……十分なんて無理!!
女の身支度に、どれだけ時間がかかると思ってるの?



「そんなの無理に決まってるでしょ」

「喚く前に、動け」



抗議するも虚しく、彼からは冷たい視線と言葉だけが返ってくるだけだった。

そんなこと言ったって、服……どうすればいいのよ。
この部屋を見渡しても、昨日自分が着ていた服さえ見当たらない。
そんな状況で、どうやって支度しろって言うの?



「あぁ、昨日来ていたヤツか。それなら、ココにある」



パサッと足元に投げつけられる衣服。

嘘でしょ。ブランド物とかではないにしても、人のものを粗末に扱うなんて、考えられない。
なんて嫌な奴なの。



「分かったから、出ていって」



ムカついて、思わず強い口調で叫ぶ。
なのに侑李は気にも留めない様子で、何も言わず部屋を出ていった。