窓から差し込む光が、彼を包み込んでいるようで周りがキラキラと輝いて見えた。

月明かりの時とは違うけど、本当に天使みたいに綺麗……って、待て。
いま私、お風呂から出てきたばかりで――。



「ちょっ、今スッピン」



思わず、手にしていたタオルを彼に投げつける。
すると侑李は投げつけたタオルを、いとも簡単に受け取り呆れたような溜息をひとつ吐いた。



「それも今更だ。って、お前何でもかんでも物を投げるの止せ」



そんなこと言っても不意打ちで現れる侑李が悪い。
それに、出会った時も雨と涙でメイクなんて落ちてただろうけど、やっぱり女としては、スッピンは見られたくない。

顔を両手で覆い、少しでも彼から見えないようにした。



「それより出掛けるぞ。十分で用意しろ」



出掛けるって、どうして私まで行かなくちゃならないの?

不思議に思いながら、指の間から改めて彼をよく見れば、細身のダークグレーのスーツに身を包み、髪も整えられている。