「コレが、何?」



侑李が何を言いたいのか分からない。
この髪留めが何だというのだろうか。



「お前が俺にくれたものだ。俺の宝物」



侑李は髪留めを、凄く大切そうに目を細めて見つめている。

私が、この髪留めを侑李にあげた?
そんなことあったけ?
だけど、この髪留めどこかで見たことがあるような――。

チリッと焼けつくような痛みが一瞬頭を貫き、こめかみを抑える。



「分かんない」

「そうか。覚えてないならそれでもいい。俺の大切な思い出だ」



一瞬残念そうな顔を浮かべ、髪留めを大切そうに胸ポケットに仕舞った。

それ以上侑李は何も言わなかったけれど、侑李の大切な思い出に、私がいるはずなのに肝心の私が思い出せないなんて悔しすぎる。

髪留め……小さい女の子が付けるような。



「ッ、くしゅん」