初めて聞く侑李の家族の話。
そんなに姉弟がいたなんて、思いもしなかった。

上の姉が三十五歳。結婚後海外に移住して悠々自適に暮らしているらしい。

下の姉は三十二歳。結婚はしていないものの、起業して今や世界的に有名なジュエリーデザイナーなのだとか。
私が見たのは、この人だという。

そして弟は九つ離れていて、二十二歳の大学生。



「弟は、俺の代わりに跡取りとして愛人に産ませた子だ」



今は父親の会社の跡を継ぐため大学に通いながら、経営の勉強もしていると侑李はつづけた。

突拍子もない話に返す言葉が見つからない。
そんな昼ドラのような事が現実にあるなんて信じられない。

年の離れた腹違いの兄弟って言いうのは、再婚とかした場合良くある話だ。
だけど侑李の代わりに、跡取りにするために愛人に産ませたなんて、どうしてそんな風に考えるんだろう。



「俺が生まれた時。待望の男児だと喜んでいた両親は、俺の姿を見て絶望したらしい。母は泣き叫び、父は俺の子じゃないと母を罵倒したと聞いている」