「落ち着いたか?息は、出来てるな」



そう言われて、初めて気が付く。
少し息が上がっているものの、呼吸がスムーズに出来ている。

さっきのって本当に応急処置?
喉元に手を当て侑李の顔を見上げる。
すると「大丈夫か?」と優しく微笑み私の頬を撫でた。

なんでそんな顔で私を見るの?
あなたの大切な人は、私じゃないでしょ?

何時から降り始めたのか、窓にはいくつもの雨が滴り落ち、しとしとと雨音だけが部屋に静かに響く。



「相変わらず不細工な顔してんな」



喉の奥でクスリと笑う。
そんな憎まれ口も、普段なら軽く流せるのに
今の私に、そんな余裕は無い。
彼の言葉全てを彼女と比べる材料としてしまう。



「どうせ不細工よ。侑李は、あの綺麗な人と一緒になればいいでしょ」