慌てて近づく侑李の姿が視界の端に映り、拒否の意味を込めて手を伸ばした。



「こな……いで……」



冷たい床で、余りの苦しさに涙が滲む。
苦しくて目を閉じると一筋の温かい涙が頬を伝う。



「蒼井、しっかりしろ」



力なく床に落ちそうになった手を、侑李が既のところで受け止め私を抱き寄せた。



「落ち着け。ゆっくり息を吐くんだ」



私の意図が届くことなく、侑李は背中を優しく擦り落ち着かせようとしてくれる。

耳元で聞こえる優しい声と温かな体温に安らぎを覚えつつ、彼には、想い人が別にいるんだと自分に言い聞かせ、震える手で彼の胸を押した。



「や、めて……」



お願い。これ以上、優しくしないで。

苦しい胸の内を分かって欲しいのに届かないもどかしさが、涙となって頬に伝う。



「蒼井、今助けてやるからな」



そう言うと、少し私たちの間に距離が出き彼の顔が近づく。